最近インテリアに興味を持ち始めた歴史系記事担当の黒沼です。
少し前にふとテレビを眺めていると日本人が好きな画家について調べた番組が始まりました。(上の画像がそれです。)
美大で絵画を学ぶ私にとってこの番組はとても面白かったです。
普段、美術の専門家の中で絵を学んでいると、良くも悪くも「美術」とか「画家」のイメージが一般人と離れていくからです。
普段、美術の専門家の中で絵を学んでいると、良くも悪くも「美術」とか「画家」のイメージが一般人と離れていくからです。
今回はこのランキング5位の画家フェルメールについて書きたいと思います。
フェルメールってこんな画家
世界史大好きな私が前に読んだ本にこんなことが書いてありました。「16世紀はスペイン、ポルトガル 17世紀はオランダ 18、19世紀はイギリス、20世紀はアメリカの時代」とてもわかりやすく力の変遷をとらえていますね。上にあるように、17世紀はオランダの黄金時代でした。中継貿易で栄えた全盛期のオランダでは王様以外の裕福な市民も絵を買えるようになり、市民に馴染みやすい、日常のワンシーンを描いた「風俗画」、裕福な市民のコレクション自慢のための「静物画」が流行りました。(それまでは磔刑図や王様の肖像など、の絵が多かったようです。)
前置きはこのくらいにして本題に行きます!フェルメールはそんなレンブラントとともにそんな時代のオランダを代表する画家ですね。彼は、風俗画を多く描いています。このページの表紙の「牛乳を注ぐ女」も風俗画の作品ですね。
フェルメールのパレット
大のフェルメール好きであった20世紀の画家サルバドール・ダリは「フェルメールのパレットを見られるなら腕を一本差し出す」とまで言ったようです。
フェルメールのパレットの詳細は不明なようですが、わかっていることもあります。
「牛乳を注ぐ女」にも用いられていますが、フェルメールは良くインディアンイエローと、ウルトラマリンの絵具を使っていたようです。
これらの絵具のネーミングにも様々なエピソードがあります。
インディアンイエローの絵具は当時植民地だったインドで作られていました。
インドって牛がたくさんいますよね?そのインドの牛の膀胱、尿から作られたのが、この絵具。それで、インディアンイエローなのだそうです。
(現在は動物愛護の観点から科学的な製法で作られているようですが)
(現在は動物愛護の観点から科学的な製法で作られているようですが)
ウルトラマリンの顔料は当時のヨーロッパでは手に入らず、中東(多くはパキスタンやイランなど)から「海を越えて」やってきた絵具であったようで、それで、ウルトラマリンなのだそうです。
ラピスラズリという宝石を砕いて作られたので、とても高価だったようで、ウルトラマリンを使った絵の受注制作は特別料金だったようです。
現在は硫黄を材料に科学的に作られた安価な合成ウルトラマリンがあるので、手軽に入手できます。←硫黄が材料なので、よく嗅ぐと温泉臭いです。ガッシュがわかりやすいです。(笑)
フェルメールは多くの作品にウルトラマリンを使ったため「フェルメールブルー」という言葉もあるようです。
フェルメールは日本好き? 当時の日蘭関係
17世紀、日本は江戸時代で長崎の出島を中心にオランダと交易していました。(当時の出島には上の画像のようなオランダ商人が住むオランダ風の長屋があったようです。)
何年か前に日本にも来た「地理学者」(下の画像)は当時のオランダが日本と貿易していたことがわかります。モデルはフェルメールの友達で微生物学者のレーウェンフックと言われていますが、彼が着ているのは日本のハッピらしいです。
この作品は以前、新宿のbunkamuraで開催のフェルメール展にて日本でも公開されました。
他にも「天文学者」が六本木の国立新美術館で、「水差しを持つ女」が森アーツセンターギャラリーのフェルメールとレンブラント展で公開されるなど、多くの日本の美術館でフェルメールの作品が公開されました。
まとめ
日本人にもなじみ深いフェルメールは数々のエピソードを持つ反面、短命で不明な点も多く(自画像もない)、作品も多くないミステリアスな画家です。
以前、彼の代表作の真珠の耳飾りの少女を題材にした映画がありましたが、「ダヴィンチコード」もそうであったようにミステリアスな人物ほど、作り手の想像を掻き立てるのかもしれませんね。
これから、新事実が発見されるかもしれませんね!
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