圧倒的高級感!?-黄金背景テンペラの魅力と箔のお話

 

最近は都市伝説にはまっている歴史系記事担当の黒沼です。今回は、中世の壁画技法で書ききれなかった、金箔を用いた祭壇画の技法,「黄金背景テンペラ」について書きたいと思います。

中世の壁画技法についてはコチラ→http://tamakobo.com/chuusei-hekiga/

この技法は手間がかかることもあり、ルネサンス期以降油彩技法の普及を受け、廃れてしまったため、あまり有名でない技法なのですが、私が最も好きな技法のひとつなんです。(普段私はこれをアレンジした技法で制作してます。詳しくはコチラ→https://black-nuts.jimdo.com/テーマと技法/)

黄金への思い 東西対決!?ー東洋の場合

普通、我々日本人にとって金箔を使った絵画といえば、光琳宗達の金屏風に見られるような↓のような箔足(隣り合った金箔の重なりによるマス目模様)をイメージすると思います。

東洋では龍を完璧な君主に見立てることが昔からよくありました。しかし、そんな龍にも顎の部分に反対向きの鱗のである逆鱗(不完全な部分)がありました。

このように、どうやら東洋人には、不完全なものにも美を見出す感性があるようで、この美意識は茶碗の「金継ぎ」等にも表れているように思えます。あえて箔足をみせる貼り方をしたようですね。

黄金への思い東西対決!?ー西洋の場合

上の画像の作品は私が大学で模写の授業で描いた中世ヨーロッパの絵なんですが、天使の背景部分がキンピカに光っています。金屏風のような継ぎ目はありません。(どうやって作ったのか想像するのはムズカシイかもしれませんね。)

これは、別に金の延べ棒を張り付けたわけではないんです。背景部分にだけ金箔を貼って、メノウで磨くとこうなるんです。(この磨き技法をギルディングと言います。)↓がギルディングに使うメノウ棒です。

東洋人には、不完全なものにも美を見出す感性があったのに対し、同じ金箔を用いた技法でも中世のヨーロッパの黄金背景テンペラ技法の場合では、継ぎ目を見せない完璧な金の輝きを追求したようです。神の完璧な威厳を完璧な輝きで表現したのかもしれませんね。

まとめ

東洋の金屏風に見られるような渋い味わいも、中世ヨーロッパの祭壇画に見られるような完璧な金の輝きも、どこか超越的で神秘的な雰囲気を持っているように思えます。(ちなみに日本では金沢が箔の特産地として有名ですが、日本の箔は西洋の箔よりも薄いそうです。)

中世のヨーロッパの黄金背景テンペラ技法は、我々日本人には馴染みの薄い技法ではありますが、とても魅力的な技法なので、是非一度、本物を見てみて欲しいです。(黄金背景テンペラを使ったテンペラ画は近場だと、上野の国立西洋美術館の常設展示に1点あります。)

国立西洋美術館はこんなところ!→http://tamakobo.com/kokurituseiyou-ueno/

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