最近インテリアに興味を持ち始めた歴史系記事担当の黒沼です。
少し前にふとテレビを眺めていると「日本人が好きな画家」について調べた番組が始まりました。(上の画像がそれです。)
美大で油絵を学ぶ私にとってこの番組はとても面白かったです。
普段、美術の専門家の中で絵を学んでいると、良くも悪くも「美術」とか「画家」のイメージが一般人と離れていくからです。
今回はこのランキング1位の画家にゴッホについて解説してみたいと思います。
ところで、ランキング1位、2位がゴッホ、ピカソってことは、日本人は「ラッセンより普通にゴッホが好き」且つ「ラッセンより普通にピカソが好き」と言えそうですね。
ゴッホはあまりに有名で語りつくされている感があるので、ダヴィンチの回同様、ゴッホに関するエピソードをいくつか紹介したいと思います。
ゴッホにとっての日本
ゴッホたちの生きた19世紀末のヨーロッパでは「ジャポニスム」という日本ブームが巻き起こっていました。当時の万国博覧会で日本はシャチホコなど数々の日本美術を出品したようで、これらが大きな影響を与えたようです。
他方で、日本から送られた茶碗を包むのに浮世絵のプリントされた紙が使われていたこともジャポニスムの一因となったようです。
モネが太鼓橋のある日本庭園をつくるほど日本好きだったのと同様、ゴッホもまた、日本の絵画(浮世絵)に強い興味を持っていたようです。
上の画像は歌川広重の浮世絵とゴッホによるそれの模写です。
また下の画像「タンギー爺さんの肖像」には背景に爺さんの浮世絵コレクションが描かれてますね。
。
「星月夜」糸杉に込められた意味
上の作品は「星月夜」ですが、これは美しい夜の風景を描いた絵にみえますね。我々日本人にとってはそれ以上の感想を持ちづらい「キレイな絵」です。
しかし、これはヨーロッパの人にとっては怖い絵に見えるようです。
手前に描かれた糸杉は伝統的にヨーロッパでは死の象徴なんだそうです。
糸杉はキリストの十字架の材料に使われたり、ギリシャ神話の死後の世界の王ハデスに捧げる植物であったりと、西洋では糸杉=死という前提(文脈)が共有されているようです。
まとめ
よく日本の漫画やアニメで空からタライが降ってくるマヌケなシーンがあったり、恋に落ちた人の周りで花が咲く演出がありますね。
驚くことにこれは西洋人の目には意味不明に映るようです。
「ジャパニメーション」という言葉に象徴されるように、日本にはかなり成熟した漫画文化があり、そのおかげで、成り立つ演出も多くあるようですね。
ゴッホの「星月夜」をみてすぐに「怖い」という感想を西洋人が持つのも、日本における漫画のような、成熟した「絵画」という文化のおかげなんでしょうね
コメントを残す